計算機を介して様々な曲線を活用する場合,機械的に操作可能な機構が数学的な表現を通して表れます。数式が直接的に表れない場合も,一連の数値データにより曲線を近似する枠組み(近似法)に数学が何らかの形で寄与しています。そのような曲線には,ベジェ曲線のように多くの知見が集積されている曲線もあれば,あまり知られていない曲線もあります。知見が集積されていない新しい曲線を制作に用いようとする場合,または新しい適用形態を考えようとする場合には,数学的な曲線の性質として明らかになっている先行研究を理解しつつ,実際の制作にどのように用いていくのかの試行錯誤が必要になります。このワークショップでは,Kobe Studio Seminarが現在の形で始まった前後の時期に産学連携で行われた数学的な曲線の性質と制作に関する研究を振り返りつつ,その発展的な試行の現状を踏まえ,今後のKobe Studio Seminarの展開について議論したいと思います。
カテナリー曲線は両端を固定した紐が形成する曲線として知られており,物理的な自然な曲線となっている。このカテナリー曲線を衣服のデザインへ応用する事を考える。一般化していない通常のカテナリ曲線で衣服を構成し始めた様子を見つつ,重力項に対して一般化し扱える一般化カテナリ曲線を当時考案した。本セッションでは,当時の様子を振り返りつつ,一般化カテナリ曲線の解説や,想定されていたユースケースなどに関してお話しする。また時間が許せば,数学的に曲線の持つ性質に考えていくことのメリット・デメリットなどを講演者の感触を踏まえてお話しし,参加者の方と今一度可能性に対してディスカッションを行いたい。
映像制作では,スタイライズを行った表現を模索する上でも,リアルな描写法を模索するにも,扱いたい対象を写真や動画で記録を行い,それらをリファレンスとしながら研究開発を進めていく傾向にあります。自社でそのようなリファレンスの内製化を推進しつつ,様々な抽象化を行う上で重要となる構造化の方針について考えていくことは,次の研究開発の方向性を模索しつつ進める上での,対話面での基盤形成として重要となります。本セッションでは,弊社での取り組みとしての衣服意匠やその制作プロセスの紹介を通して,研究開発上の見通しの良さを得ることに期待した様々な工夫や,そこで得られたリファレンスの様々なユースケースを紹介しつつ,リモートワーク時代の課題についてお話ししたいと思います。時間が許せば,過去の取り組みから,どのように改革を進めているかに関してお話ししたいと思います。
映像制作上の発展性を見据えて特殊な構造を入れたままに衣服意匠を展開していく上で,自然な展開として,生地の開発に視点が向かうこととなります。生地開発は,資材などの在庫面や,織機などの特性や制約と向き合いつつ進む傾向にあると思われますが,伝統的な技法を含む既存の手法を検討し,現代的な視点でもって映像制作上の構造を入れて展開していくことは,我々の制作においての変革性を支える上での,重要なサイクルの一つとなります。本セッションでは,現在試作中の生地開発の様子などを紹介し,映像制作上のアセット管理やプロシージャル推進で培った視点でもって進められた工夫に関してお話しします。
生地開発やパターン開発を踏まえ,3DCGにおいての質感表現やそのスタイライズの様子に関してお話ししたいと思います。特には,着用者の体型に即したエイジングやそのスタイライズを考えていく上で,弊社においての現在の試行錯誤に関して触れたいと思います。時間が許せば,家具や内装,建築物などを映像制作上での表現としてそのスタイライズを考えていく上での,今後の方針に関してお話ししたいと思います。