本セミナーは,Kobe Studio Seminar for StudiesのGame Developmentに関する特別シリーズです。各セミナーでは,Game Developmentに関連するトピックを不定期に議論しますが,議論を深めるために,参加者は少なめに設定しています。本セミナーは,株式会社カプコンの技術研究開発部とKSS Projects for Communication世話人で企画を話し合いつつ運営しています。
なお,2018年度は株式会社カプコンの会議室を用いて開催されていましたが,この期間に得られた知見や感触を元に,2019年3月以降は,神戸大内での開催に移行しております。
本特別シリーズは,2019年6月をもって終了しました。なお,クロージングセッションを2019年7月に予定していましたが,課題の取りまとめが困難であったため,今後の他のセミナーにてKSS Projects for Communication世話人から課題紹介を行うこととして,2019年5月の議論をもって終了とさせていただきました。
当初,数理的側面で発展の進んでいるゲーム分野以外の様々な分野での知見や,映像制作パイプラインの知見を取り入れていくことに対するゲームエンジンの変革を主題にこのセミナーシリーズを開催し始めましたが,一定の課題が見えて来た中,一度仕切り直して取り組むしかない課題が積もり始め,このセミナーシリーズをクローズし,じっくりまずは社内で取り組み直していく必要を感じました。 今後も,セミナーでの参加者の皆さんとのディスカッションを元に,ゲームエンジンの変革と,その変革の様々な紹介を通して,このセミナーシリーズで得られた知見を活かした活動を続けて参りたいと思いますが,本セッションでは,モデレータを中心として,ここまでの会合を振り返りつつ,得られた知見の取りまとめを行いたいと思います。 特には,高度化する情報技術の進展の中で,様々な抽象化を経て高度化を考えて行かねばならない現在のゲームエンジンの課題や,制作や開発を支えるサーバーサイドサービスなどの拡充の観点で整理を行いつつ,数理的手法の展開を見据えた,現状整理と課題策定に関して取りまとめを進めたいと思います。
今回のクロージングセッションを行うにあたっては,あらかじめ,本特別シリーズで議論してきた内容を含む現状理解をより深めるため,株式会社カプコンからのセミナー参加者とKSS Projects for Communication世話人による論点整理のための個別議論を行っています。
映像制作スタジオにおいて取り扱うメディアの多様化は著しく,制作データの長期保管や,事後に他メディアでの利用を見越した制作時の情報管理などが,近年重要な課題となってきていると考えております。このようなコンテンツのマルチメディア展開先の一つとしてコンソールゲームやモバイルゲーム,VRコンテンツなども含まれていることとなりますが,今回の講演では海外大型案件などでの映像制作で求められる要件などをご紹介しつつ,そこでのHDRへの弊社の取り組みに関してお話ししたいと思います。制作時のカラーマネジメントや色彩設計を含め,近年の制作での色情報の取り扱ううえでの課題や対策なども紹介しつつ,映像とゲームでの色管理の違いに関して,映像制作面から見た見解なども多少お話しできたらと思います。
時代の変化に追随しつつ変化を繰り返していくゲームエンジン開発において,HDRへの対応を行いつつSDRでのプロダクトとしての品質の向上を同時に行うことが自然と求められてきます。しかし一方,双方の取り扱い上の難度は個別のタイトルに依存した形で生じ得る部分が強く,その上でHDRとSDRという異なる二つの対象を取り扱っていくことが求められます。この講演では,ここ最近の弊社での実践的なHDRとSDRの双方の変換を視点とする開発状況をお話し,実際のタイトルへのそれらの適用から見えて来た課題をご紹介します。またより広範なタイトルへの適用を考えた場合に生じ得るであろう問題などへの見解をお話しながら,HDR-SDRなどの異なるダイナミックレンジでの変換や相互運用に関して議論して行きたいと思います。
PoCとしての事例もそこそこに蓄積されてきた現在のAI利用においては,既にこれらを実運用モデルへ展開する段階へ移行した企業も増えていると思います。今回は弊社での取り組みのひとつである「MFP転写ベルト生産工場における画像処理による欠陥検査のFA化」というテーマにてAI機能の実用化に際して生じた問題や試行錯誤の一端に触れつつ,現在,最も実用向きと目している手法を紹介し,現在の欠陥検査や品質管理手法あるいはその将来における画像処理の可能性について,参加者の皆さんと意見を交わしながら,見識を深めたいと思います。
一定のまとまりを帯びての機能性を考えていくこととなるゲームエンジンや映像制作でのサーバーサイドサービスでは,コンシューマーデバイスの多様化や提供するコンテンツそのものの多様化が進むに連れて,その制作やデリバリーの上でのシステマティックな品質管理や,制作面でのデータ管理体制での変革が求められていると思われます。今回の会合では,ゲーム領域と映像制作領域における,色管理を主軸としたこれらの課題が提示されることと思いますが,このセッションでは今一度今回の会合の内容を振り返り,システムとして今後求められていくであろう課題に関して,一定の取りまとめを行いたいと思います。
このセミナーシリーズでは,講演形式での開催を今回で終え,次回に過去のセミナーの内容を取りまとめる形でセミナーシリーズをクローズさせて頂くこととなりました。そこで,今回のセミナー参加者の皆様と共に,これら経緯を振り返りながら,得られた知見や課題と思われた内容などを話し合い,次回開催のこのセミナーシリーズのクローズに際してのとりまとめのための準備を行いたいと思います。
「クラフツマンシップとアーティストのテクニック 20190202」において,映像制作におけるプリプロ工程とゲームエンジンとの関わりに関して会合が開催されました。今回の講演では,ゲームエンジンの各種仕組みと映像制作のプリプロ工程の関係を今一度整理すべく,試案としての設計上の要件策定の紹介を通して,双方での技術の発展性の模索を目指して話したいと思います。また時間が許せば,弊社でのリアルタイム処理への取り組みとして,主にレンダリング周りの変革状況を中心に,進捗とそこから見えて来た課題に関して多少の紹介を行いたいと思います。
ゲーム制作と映像制作ではCGを扱う点は同じですが,最終的にレンダリング画像が出力されるまでの過程における文化や背景は大きく異なるため,深い議論を行うためにはその違いを正確に認識することが必要不可欠です。ここでは全体の制作工程やワークフロー,扱っているアセット構成などを軸に,双方の制作パイプラインの差異や現在の形に至った背景,抱える問題や改善点などについて,実際の制作事例を交えながらディスカッションを行います。
リアルタイムに入力される情報に合わせてキャラクターを違和感なくアニメーションさせる技術は,ゲーム制作においてよりリアルなグラフィック表現を支える上で非常に重要です。この講演ではキャラクターの移動モーションのスムーズなトランジション,移動モーションのブレンドツリーによるバリエーション表現,地形による脚・重心の補正や体形差のあるモデルのしがみつきにおける手の位置補正などの活用事例をご紹介します。
高度な技術力を必要とするゲームエンジン開発は,近年,映像制作を含む様々な分野の知見を取り入れながら技術革新を激しく進めて行く傾向にあります。この講演では,昨今のゲーム開発の進展などをお話ししつつ,このセミナーシリーズで目指して行きたい事柄に関してお話ししたいと思います。
昨今「システムの複雑化」が話題になることが多くなり,自動二輪車においても例外ではありません。これは,今まで機械が主体であったシステムに,電気・電子・電子制御・通信の要素が入ってきたことが一因と考えています。一方,機械システムそのものに対しても,仕様説明責任の観点で,社会が期待する品質が以前に対し高くなっていると感じています。しかし,現在の機械システムは設計結果・設計プロセスの両方に暗黙の部分が多く,社会の期待に応える品質を確保するにはプロセスの変革が必要と考えています。この講演では,現代に求められる機械設計プロセスについての一考察を紹介します。
ICTの発展に伴い,様々な業界のパイプライン構築上の仕組みや課題の多くが共通の課題を内包し始め,分野やスタジオの違いを通して豊かに育まれていく傾向にあると思われます。実際,九月に開催された「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック7」においては,アニメの背景美術とゲーム,映像制作のパイプラインの課題が話し会われました。そこでの多くの課題が,業界間での類似性も見られた組織としての課題の多くと,各分野特有のアーティスティックな側面での課題に分かれていたように思います。今回の講演では,「映像制作パイプラインとアーティストのテクニック7」の状況をご報告しつつ,プランニングの段階から開発,制作(生産),デリバリーを含めたパイプライン構築に関する課題と学術的な発展性に対する期待などをご紹介したいと思います。
都市と道路網は社会インフラの根幹であり,その発生原理の探求を目指して数理的研究が行われてきた。先行研究では簡単化のため,周期境界かつ一様平面条件を仮定していたが,現実の地形は高低があり,河川や海岸線がある。本課題では仮説として,外部条件としての地形要因 + 都市と道路網の共発展を記述する単純な時間発展方程式で,現実の都市・道路網の概形が再現できると提案する。これを検証するため,約30m格子の詳細な地形データを活用し,都市・道路形成をパターン形成過程として定式化し,その結果を現実の人口地理分布・道路網と比較する。